今回は、イタリアのセリエAのボローニャで新しい戦術の検証を行いました。
今回の戦術のコンセプトは、4-2-3-1をベースに、攻撃時はセントラルミッドフィルダーの2枚がサイドに開いて、その空いたスペースをトップ下が自由に動くことによって、ボールが低い位置にあるときも高い位置にあるときも、クリエイティブなトップ下がプレイに関与できるようにすることです。
他のクラブのプレイガイドもこちらでまとめてあるので、よろしければご覧ください。
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戦力
以前にボローニャのプレイガイドを書いているのでそちらを参照ください。
冬移籍で加入をした選手がいたので、そこだけ紹介をしておく。
アダマ・スマオロ
フランスのリールからレンタルで加入。バランスや強靭さが高くてフィジカルコンタクトに強く、マーキングも上手いので、フィジカルをいかしてエリア内で活躍をするフォワードに対応するのが得意そう。
戦術
セントラルミッドフィルダーの2人には個人設定で「サイドに残れ」を設定して前述のコンセプト通りに、ボール保持時にサイドに開いた位置に動くようにする。これによりトップ下が動くスペースを確保しつつ、孤立しやすいウイングやサイドバックの選手の近い位置に行ってサポートができるようになると思う。このポジションは怪我人も多く使える選手が限られていて、ドミンゲスとスハウテンの組み合わせになるだろう。比較的守備の上手いスハウテンを守備、ドミンゲスをサポートに設定をする。
トップ下はエンガンチェを設定。トップ下の役割の中では比較的ボールを受けに下がってくるイメージがあるのでこれにした。ここはテクニック、パス、視野が高く良いパスが出せるソリアーノを使う。
フォワードは縦幅を確保するためにポーチャーで、オフザボールが優れているパラシオを起用。
両ウイングは、トップ下がエンガンチェで少し低めの位置なので、中央に空いたスペースを使うためにインサイドフォワードを使って、さらに攻撃の幅を少し狭く設定をする。ここはオルソリーニとバロウがちょうどインサイドフォワードに向いている選手なので彼らを起用する。
サイドバックはデ・シルヴェストリとダイクスを起用。両サイドとも前のウイングがインサイドフォワードでサイドの前にスペースが空くので、攻撃に設定をしてスペースを使う。
センターバックは冨安とスマオロを起用。スピード、集中力、予測力あたりが悪くないのでディフェンスラインを上げた守備をする。
結果
なんとリーグ戦は2位でフィニッシュ。目標が上位半分だったのでかなり良い成績だった。一方でカップ戦はローテーションをしたのでカリアリに負けてしまった。
リーグ戦の詳細を見ると76得点42失点と順位や勝ち点から見ると得点と失点は妥当な感じだが、前回のプレイガイドの49得点39失点と比べると、失点は少し増えているものの得点は多く増えており、かなり改善をしている。
他のクラブの成績を見ると今回は上位がかなり混戦で、優勝をしたユベントスでも勝ち点が80と2位のうちのクラブと差が1しかなく、後もう少しで奇跡的に優勝をしてしまうところだった。
個人の成績を見るとフォワードのパラシオが28得点と大活躍をしているのだが、ウイングも19得点と12得点とかなり多い点を決めており、戦術を組んだときに考えていたウイングの使い方が上手く機能をした感じか。
戦術確認
今回の戦術が実際にどのように機能していたかを少し見ていきたいと思う。
まずはセントラルミッドフィルダーがサイドに開いて、その間をトップ下が動くことを狙って戦術を組んでいたのだが、実際に以下の通りに動いていた。
セントラルミッドフィルダーがサイドバックに近い位置まで開いており、その間にトップ下が落ちてきている。これによりセンターバックがボールをもっているときにパスを出す選択肢が、両サイドバック、両セントラルミッドフィルダー、トップ下と5つもあり、パスの受け手の全てが相手に捕まってパスが出せないといった状況が起きづらく、センターバックから前にボールが進みやすい展開が多かった。
また、サイドバックがボールをもったときは以下のような感じになった。
サイドバックがボールをもっている高さにもよるのだが、基本的にはセントラルミッドフィルダーが開いた位置にいるのでサイドバックの近くにおり、特にサイドバックが高い位置にいるときはサイドバックが開けたサイドの低い位置にセントラルミッドフィルダーがはいって、サイドバックをサポートして、孤立することが少なかった。セントラルミッドフィルダー以外にも上記の画像ではトップ下、それ以外の場面ではウイングなどもサポートに入る場面があり、サイドバックからパスを出す選択肢は少なくなかった印象。
また戦術を組むときに考えていたトップ下が低めの位置で、そこをウイングが使っていくといった関係性を狙っていたのだが、そこらへんは以下の通りだった。
実際にエンガンチェに設定をしたトップ下が少し低めの位置で動いてくれて、インサイドフォワードのウイングが中央に寄ってセンターバックとサイドバックの間を突いてくれる感じになった。ポーチャーに設定をしたフォワードが縦幅とセンターバックを相手してくれて、ここも期待通りな動きとなっていた。
また、攻撃の幅を狭く設定したおかげでウイングが得点を狙いやすい位置にいる一方で、ちょっと中央に入りすぎていて、サイドバックを中央へ引き連れていて、ディフェンダー間のスペースが狭まっている気もする。しかしながらサイドが中央によっているおかげでサイドにスペースが生まれていて、そこをサイドバックが自由に使えている感じもする。
課題
今回の戦術はセントラルミッドフィルダーがサイドに開いて、その間をトップ下が自由に動いて上手く機能をしている感じがしたが、このトップ下の動き方がエンガンチェによるものなのか、トップ下で使っていたソリアーノのプレイ特性の「ボールを受けに下る」によるものなのかが微妙な気がする。もしプレイ特性によるものであればその特性を持っている選手がいないとこの戦術が上手くいくかよくわからないので、汎用性にかけるというか、少し使いづらい感じもするが、監督として選手の個性を活用できているという気持ちよさはあったり。
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