今回は、ユーゴスラビアが現存していたら、どんな代表チームになっていたか考えてみました。サッカー監督シミュレーションFootball Manager 2021も交えつつ見ていきたいと思います。
ユーゴスラビアはかつて存在をしていた国でしたが、国内に多くの民族や宗教を抱えていました。最終的には国内の民族間で激しい内戦を行った後に、現在はスロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴビナ、セルビア、モンテネグロ、北マケドニア、コソボと7つの国に別れています。
そんなユーゴスラビアですが、サッカーにおいては東ヨーロッパのブラジルと言われていたほど優秀な選手を排出していた国でした。1990年のワールドカップではバラバラな民族を監督のイビチャ・オシムがまとめ上げ、準々決勝でマラドーナを擁するアルゼンチン相手に120分間無失点のドローの末、PK戦で敗れたものの、素晴らしいチームを作り上げたこともありました。
ユーゴスラビアとその後はクロアチアの代表でプレイをしたズボニミール・ボバンは「サッカーを戦争だと言う者は、本当の戦争を知らない」という言葉を残していたり、ユーゴスラビアの地域に住んでいた大変な思いをした人々には少し無神経な記事かもしれません。
代表メンバー
GK
ヤン・オブラク(27歳, アトレティコ・マドリード, スロベニア)
アトレティコ・マドリードのゴールを守り、堅い守備を支えているオブラク。非常に優秀な選手にもかかわらずあまり代表キャップが多くないのは、スロベニア代表の先輩にハンダノビッチがいる影響。スロベニアはユーゴスラビアの北西部に位置をしており、イタリアと国境を接しているのですが、そんなゴールキーパー大国のイタリアにスロベニアも似て、2人続けてワールドクラスのキーパーを排出したのでしょう。
ドミニク・リヴァコヴィッチ(25歳, ディナモ・ザグレブ, クロアチア)
クロアチアの名門ディナモ・ザグレブに所属をしていて、同国代表の代表選手。フランスのモンペリエからオファーが来たことがあったが、代表のモドリッチ先輩から、チャンピオンズリーグや代表で活躍を見せればよりビッグクラブに移籍できると思うから残留をしたほうが良いとのアドバイスを貰ったらしい。
マルコ・ドミトロヴィッチ(28歳, エイバル, セルビア)
セルビアの名門レッドスター・ベオグラードの出身ではあるが、トップチームでは試合に出れず、出場機会を求めてハンガリーのクラブへと移籍をした。その後もイングランドやスペインの2部を渡り歩き、スペイン1部のエイバルの正ゴールキーパーとなった。現在ではセルビア代表としても試合に出場をしている。
DF
デヤン・ロヴレン(31歳, ゼニト・サンクトペテルブルク, クロアチア/ボスニアヘルツェゴビナ)
クロアチア代表で、リヴァプール時代にはチャンピオンズリーグの優勝を経験している。自称世界最高のセンターバックだが、発言当時の監督のクロップには「もっと大事なのは、それを一貫してやることだ」とプレイの安定性について指摘をされている。FM21上の能力でも素晴らしい能力をしているのだが、プレイの安定性にかかわる能力の集中力だけがトップレベルの選手にしては物足りないレベルと評価をされている。
ステファン・サヴィッチ(29歳, アトレティコ・マドリード, モンテネグロ/セルビア)
世界最高と言っても過言ではないディフェンス力を誇るアトレティコ・マドリードを支えるセンターバック。
ニコラ・ミレンコヴィッチ(22歳, フィオレンティーナ, セルビア)
イタリア・セリエAのフィオレンティーナに所属する優秀な若手センターバック。ビッグクラブへ移籍をするかもしれないとのニュースもあった選手。
ニコラ・マクシモヴィッチ(28歳, ナポリ, セルビア)
イタリアの強豪のナポリに所属をする、空中戦の強さと、果敢なボール奪取が売りの選手。
シメ・ヴルサリコ(28歳, アトレティコ・マドリード, クロアチア)
オブラクやサヴィッチと同じくアトレティコ・マドリードの選手。ユーゴスラビアのディフェンダーとシメオネの相性が良いのか。
アダム・マルシッチ(27歳, ラツィオ, モンテネグロ/セルビア)
モンテネグロ代表のマルシッチ。長身でビルドアップや攻撃参加もできる現代的なサイドバック。
セナド・ルリッチ(34歳, ラツィオ, ボスニアヘルツェゴビナ/スイス)
右利きだが左サイドはどこでもこなせ、ミッドフィルダーと、時には右サイドもプレイができるユーティリティな選手。視野が高くないことを除けば、献身的で何でもできる選手で、特に攻撃時の位置取りが素晴らしい。
アレクサンダル・コラロヴ(34歳, インテル, セルビア)
ラツィオ、マンチェスター・シティ、ローマ、インテルとビッグクラブを渡り歩いたコラロヴ。全体的に良い能力で、センターバックとサイドバックができるのだが、サイドバックを任せるには少し足の速さが物足りなく、センターバックとしてはポジショニングが少し物足りなく、使いどころに困る。
MF
ルカ・モドリッチ(34歳, レアル・マドリード, クロアチア)
レアル・マドリードで活躍をしていて、2018年にはチャンピオンズリーグ優勝とワールドカップ準優勝の功績で、バロンドールを獲得した。
セルゲイ・ミリンコヴィッチ=サヴィッチ(25歳, ラツィオ, セルビア/スペイン)
ラツィオを支える中盤の選手。父親も元サッカー選手で、父親がスペインでプレイをしていた時代に生まれたので、スペインの国籍も持っている。
ミラレム・ピャニッチ(30歳, バルセロナ, ボスニアヘルツェゴビナ/ルクセンブルク/フランス)
当時はユーゴスラビアで現在はボスニア・ヘルツェゴビナとなっている地域の生まれだが、戦禍を逃れて10代の前半まではルクセンブルクで過ごした。その後はフランスのクラブのユースチームへ移籍をして、リヨン、ローマ、ユヴェントス、バルセロナと名だたるクラブでプレイをしている。年代別の代表ではルクセンブルクでプレイをしていたが、A代表は祖国のボスニア・ヘルツェゴビナを選択した。
マテオ・コヴァチッチ(26歳, チェルシー, クロアチア/オーストリア)
紛争を逃れてオーストリアへ移住をした両親の元で生まれた。オーストリアのクラブでサッカーを初めたものの、祖父母がまだ住んでいたクロアチアに戻り、クロアチアの名門のディナモ・ザグレヴのユースに移り、そこでプロデビューをした。その後はインテル、レアル・マドリード、チェルシーなどの強豪クラブデプレイをしている。
イヴァン・ラキティッチ(32歳, セビージャ, クロアチア/スイス)
ラキティッチは両親が紛争を逃れてスイスへ移った先で生まれた。そのスイスでサッカーを初め、プロデビューもスイスのバーゼルでした。その後は、シャルケ、セビージャ、バルセロナと移り、現在はまたセビージャに戻ってプレイをしている。年代別の代表ではスイスでプレイをしたこともあったが、A代表は祖国のクロアチアを選択した。
マルセロ・ブロゾヴィッチ(27歳, インテル, クロアチア)
クロアチアの首都に生まれ、そのままクロアチアで育ち、プロデビューもクロアチアではたした。守備もゲームメイクもできる中盤の底として、現在はインテルでプレイをしている。
FW
クリスチャン・プリシッチ(21歳, チェルシー, アメリカ/クロアチア)
本人も父もアメリカ生まれで、祖父まで遡るとクロアチアの出身らしい。父親はアメリカでインドアサッカーの選手だったらしい。
ドゥシャン・タディッチ(31歳, アヤックス, セルビア)
ユースからプロデビューまで一貫して故郷セルビアのFKヴォイヴォディナ・ノヴィサドでプレイをした。その後はオランダに移り、フローニンゲンやトゥウェンテで活躍をした後に、イングランドのサウサンプトンへ移籍をした。現在は若手中心のアヤックスに模範となるベテラン選手としての役割を期待されて加入をし、チャンピオンズリーグのベスト4に貢献をしたりした。
イヴァン・ペリシッチ(31歳, インテル, クロアチア)
クロアチアの都市の生まれだが、ユースのときにフランスのソショーに引き抜かれた。その後はベルギーでプレイをした後に、ドルトムント、ヴォルフスブルク、バイエルン、インテルといった名門クラブでプレイをしている。
デヤン・クルゼフスキ(20歳, ユベントス, スウェーデン/北マケドニア)
北マケドニア人の両親のもと、スェーデンで生まれた。地元のブロマポイカルナでサッカーを初めたが、ユースのうちにイタリアのアタランタへ移籍をした。その後はイタリアでプレイをしており、現在はユヴェントスに所属をしている。年代別の代表ではルーツの北マケドニアでプレイをすることがあったが、A代表はスウェーデンを選択した。
ヨシップ・イリチッチ(32歳, アタランタ, スロベニア/クロアチア/ボスニアヘルツェゴビナ)
クロアチアにルーツを持つが、ボスニア・ヘルツェゴビナの生まれで、1歳頃にスロベニアに引っ越しており、ユーゴスラビア内の様々な国と関わりを持っている。引っ越し後のスロベニアの地元のクラブでサッカーを初めた。21歳のときにはサッカーをやめることを考えていたらしいが、スロベニアの名門マリボルからのオファーがあり加入をした。その後はイタリアへと活躍の場を移し、パレルモ、フィオレンティーナでプレイをし、現在はアタランタに所属をしている。
エディン・ジェコ(34歳, ローマ, ボスニアヘルツェゴビナ)
ボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボの出身。ボスニア紛争の時は一家で団地に避難し、音を立てられない地下室生活を強いられながら砲弾が止む僅かな時間にサッカーを楽しんでいたらしい。ドイツとイングランドの2つのリーグで計3度の優勝を経験、また、ドイツとイタリアの2つのリーグで得点王をとっている。
選出から漏れた有名選手
グラニト・ジャカ(27歳, アーセナル, スイス/アルバニア/コソボ)
両親がコソボより移民してきたアルバニア人。優秀な選手ではあるが、 中盤がモドリッチ、ラキティッチ、コバチッチ、ピャニッチなど層が厚すぎて選出外に。
ケヴィン・カンプル(29歳, RBライプツィヒ, スロベニア/ドイツ)
両親はスロベニア人だがドイツ生まれ。ポリバレントで、献身的で、割と何でもできるレッドブルのサッカーを支える選手。控えにいると便利そうなので、誰かと交代でメンバーに選んでも良い気がする。
アドナン・ヤヌザイ(25歳, レアル・ソシエダ, ベルギー/アルバニア/コソボ)
両親はコソボのアルバニア人だが、父がユーゴスラビアの徴兵を逃れるためにベルギーへ移住をし、そこでアドナンが生まれた。Wikipediaの彼の記事にはユーゴスラビアにおけるヤヌザイ家の苦難が書かれている。
ジェルダン・シャチリ(28歳, リヴァプール, スイス/アルバニア/コソボ)
コソボでアルバニア人の両親のもとに生まれ、スイスへ移住をするというジャカと似たような生い立ち。2018年のワールドカップでは、同じく旧ユーゴスラビアで紛争の相手だったセルビア相手に得点を決めた際に、アルバニアを象徴するポーズを取り罰金を受けている。ちなみにジャカも同様の行為を行い罰金を受けた。
マルコ・アルナウトヴィッチ(31歳, 上海上港, オーストラリア/セルビア)
セルビア人の父とオーストリア人の母の間にオーストリアで生まれた。テクニックが優れており、予測不可能なプレイをするブラジル人っぽさを持っており、東欧のブラジルの血を引いている感じがする。
ルカ・ヨヴィッチ(22歳, フランクフルト(レアル・マドリードから期限付き移籍), セルビア/)
ボスニア・ヘルツェゴビナの生まれだが、親はセルビア人。幼少期にセルビアに移り、セルビアの名門のレッドスター・ベオグラードの下部組織に入団をして、プロデビューもそこで行った。その後、レッドスター・ベオグラードの財政難によりベンフィカへ移籍をすることになった。そのベンフィカから期限付き移籍先のフランクフルトで活躍をし、レアル・マドリードに加入をすることとなったが活躍ができず、現在はまたフランクフルトへのレンタルとなっている。
代表引退
サミル・ハンダノビッチ(36歳, インテル, スロベニア)
両親はボスニア・ヘルツェゴビナの出身だが、スロベニアで生まれた。非常に優れたキーパーで、オブラクの代表出場数が意外と少ないのはおそらく彼のせい。従兄弟のヤスミン・ハンダノヴィッチはスロベニアの名門のマリボルでキーパーをつとめており、同じく代表経験がある。
ゴラン・パンデフ(37歳, ジェノア, マケドニア)
若干18歳で北マケドニアのリーグで18試合に出場をして6得点の成績をあげてイタリアのインテルに引き抜かれる。その後は一度トルコに期限付き移籍をすることがあったが、それ以外はずっとイタリアでプレイをしている。現在は37歳の大ベテランだが、今季限りで引退をするとの噂。
ブラニスラヴ・イヴァノヴィッチ(36歳, ウエスト・ブロム, セルビア)
長くチェルシーで活躍をしていた選手。セルビアとモンテネグロが分裂をする前のセルビア・モンテネグロでの代表経験がある。
ネマニャ・マティッチ(31歳, マンチェスター・ユナイテッド, セルビア/スロバキア)
モウリーニョ監督時代のチェルシーで活躍をし、守備の固さからレンガ壁と比喩された。
ズラタン・イブラヒモビッチ(38歳, ACミラン, スウェーデン/ボスニアヘルツェゴビナ/クロアチア)
本人は神ではあるが、父はボスニア人で、母はクロアチア人、生まれは両親が移住をした先のスウェーデンである。その後の活躍は説明をするまでもない。
マリオ・マンジュキッチ(34歳, ACミラン, クロアチア)
190cm85kgの巨体にもかかわらず、非常に豊富な運動量と献身性をもっていて、全力で守備をするフォワード。守備をし過ぎるがゆえに、カウンターなどの必要なときに前線にいないという欠点を抱えていたが、ウイングにコンバートをされた事によって欠点を長所に変え、更には平均的に空中戦に弱いサイドバックにたいして高さや強さで圧倒をする強力な武器を手に入れた。クロアチアの生まれではあるが、幼少期に数年間、戦禍を逃れてドイツに住んでいたことがあった。
旧ユーゴスラビアにルーツを持つ選手の中で目立つのは、ハンダノビッチとオブラクと2人続けて優秀なキーパーを排出しているスロベニアと、モドリッチ、ラキティッチ、コヴァチッチ、ブロゾヴィッチと中盤が非常に層が厚いクロアチアか。
能力を見ると全体的に勇敢さ高めで、ヨーロッパの火薬庫と言われているバルカン半島に住む民族の国民性か。選出をした23人中で15以上の選手が9人で、14の選手も入れると14人と半数を超えとなっている。一方で10を下回るのはプリシッチのみとなっている。
また、「他国に侵されているクラブ」で紹介をした通り、イタリアでプレイをしている選手が多く、選出をした23人中11人が現在イタリアのクラブでプレイをしていて、過去にプレイ経験がある選手も含めると15人といった感じだ。
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