今回は、Football Managerのサイドバックの役割について解説をしたいと思います。検証にはFootball Manager 2022を使っているので、他のシリーズでは結果が異なる可能性もあります。
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目次
サイドバック
ポジションの位置としてのサイドバックと、役割の名前としてのサイドバックでややこしいので、この記事ではポジションの位置としてはサイドDF、役割の名前はサイドバックを使う。
サイドバックはサイドDFの役割の中で一番オーソドックスなもので、タスクは守備、サポート、攻撃、自動の4つが用意されている。自動は、戦術で設定をされているメンタリティによって、守備、サポート、攻撃の3種のタスクが変わるという感じになっている。例えば自動のタスクで、メンタリティが攻撃の場合は、攻撃タスクと同じ動きをするといった感じだ。
それぞれのタスクに設定をされている指示は以下の通り。
守備のタスクには「もっとリスクを減らせ」が設定をされていて、無難なパスを選ぶように求められていて、他には低い位置からクロスを狙う「アーリークロスを上げろ」や「ポジションを保て」が設定されていて、攻撃時に、守備のときのポジションからあまり離れないようになっている。
サポートのタスクは特に指示は設定されておらず、攻撃のタスクは、「クロスをもっと上げろ」が設定をされていたり、「もっと前に出ろ」が設定をされていて、攻撃的に動くようになっている。
それぞれの役割の動きを見るために、守備、サポート、攻撃のタスクで1試合を動かしてみて、パスを受けた位置の図が以下の通り。青が守備、緑がサポート、赤が攻撃になっている。
守備
サポート
攻撃
守備(青)、サポート(緑)、攻撃(赤)を重ねたもの
見ての通り守備タスクは基本的に自陣でプレイをしていて、相手陣内まで入るのは稀。サポートは自陣でも、相手陣内でもパスを受けていて、一番多くパスを受けているのはハーフウェーラインの少し手前という感じ。攻撃タスクはあまり後ろに残らずに積極的に前に出ていて、相手陣内の奥深くまで侵入をしていることがわかる。
そのため使い分けの例としては、例えば同じサイドのウイングとの関係性で、ウイングに完全に攻撃を任せることが出来て、サイドDFは守備に専念をしたり、前にいるウイングが動くスペースを与えたいときには守備タスク、サイドDFもある程度前に出てきて、ボールを持っているウイングが攻撃に詰まったときのためにボールを受けれるようにしておきたいくらいの場合はサポート、積極的に前に出て攻撃に参加をしてほしい場合は攻撃タスクといったものが考えられるだろう。
必要な能力は、全てのタスクに共通をして、というより全てのサイドDFの役割で共通をして、そもそもでディフェンダーなので、タックル、マーキング、ポジショニングといった守備能力やチームワークはそこそこ欲しくて、ミスをすると失点に直結するので冷静さと集中力、プレイ判断を誤らないように判断力と予測力あたりは欲しいところ。あとはジャンプ到達点も最低限はあると、逆サイドからファーへのクロスの対応も安心かもしれない。これらの能力は守備タスクではより重要になるか。走ることに関係をするメンタル能力の運動量、フィジカル能力のスタミナ、スピード、加速力は攻撃やサポートといった攻撃時にある程度前に出るタスクには必要か。高い位置である程度パスをさばくことになるサポートや攻撃のタスクではパスに関係するクロス、パス、視野は欲しいかもしれない。攻撃に積極的に参加をする攻撃タスクでは、攻撃時の位置取りに関するオフザボールがあると好ましく、ドリブルがあると違いを作れるかもしれない。
ちなみに今回の検証でデータを取るときは以下の戦術とメンバーを使っていて。左のサイドDFのターゲットの役割やタスクを変えて検証をしている。
ターゲットの能力は以下の通り。プレイ特性が無く、能力も全般的に13,14前後なので、検証の結果のデータが歪みづらいと思う。
ウイングバック
ウイングバックの役割の説明には「ウイングの攻撃的役割と、サイドバックの守備的役割のすべてをこなすことが求められる」とあるように、サイドバックと比べると攻撃的な役割。
ウイングバックにも守備、サポート、攻撃、自動のタスクが用意されている。それぞれに設定されている指示を見ると、その攻撃性が現れていて、サポートタスクでも「もっと前に出ろ」の指示が入っている。
どのタスクにも指示で「サイドへドリブルしろ」が設定をされていて、ドリブルは共通をしてサイドで行うようになっている。
それ以外で見ると守備タスクはサイドバックと同じ指示が入っていて、攻撃タスクはサイドバックと比較をして「ドリブルをもっと使え」と「ライン際でクロスを上げろ」とより攻撃的な感じになっている。
サイドバックとウイングバックのサポートタスクでの動きを比較するために、それぞれのタスクで、5試合でボールを受けた位置をプロットしたのが以下の通り。赤がサイドバックで、青がウイングバックになっている。やはり青のウイングバックのほうが前でボールを受けていることがわかる。
サイドバック
ウイングバック
サイドバックとウイングバックを重ねたもの
ウイングバックで守備、サポート、攻撃とタスクごとに、1試合でボールを受けている位置は以下の通り。守備が青、サポートが緑、攻撃が赤になっている。
守備タスクでもサイドバックのサポートタスクより少し前でプレイをしているような感じで、サポートタスクはサイドバックの攻撃タスク、攻撃タスクだとウイングのような位置でプレイをしている。
守備
サポート
攻撃
守備(青)、サポート(緑)、攻撃(赤)を重ねたもの
サイドバックとウイングバックの、守備、サポート、攻撃で1シーズン同じ選手でプレイをさせたときのスタッツは以下の通り。
得点はどの役割、どのタスクでも発生はしなかったが、得点期待値やシュートの本数を見るとサイドバックの攻撃が一番多く、サイドバックのサポート、ウイングバックのサポートと攻撃が同じくらいとなっている。ウイングバックの攻撃が一番シュートが多くなるのかと思っていたのだが、ウイングバックの指示に共通をして「サイドへドリブルしろ」が入っていて、ウイングバックはよりサイド側でプレイをするようになっていて、シュートを打つ機会が少ない一方で、サイドバックの場合は周りの選手の配置を見て場合によっては中央に入ることもあって、シュートの機会があったということか。
アシストを見るとそもそも数が少ないが、ウイングバックの攻撃タスクが多く、それ以外は同じくらいという感じ。キーパス、チャンス創出、クロスを見るとわかりやすく差が出ていて、サイドバックの守備タスクが一番少なく、サイドバックのサポートとウイングバックの守備が同じくらい、サイドバックの攻撃タスクとウイングバックのサポートが同じくらい、ウイングバックの攻撃が一番多い結果で、サイドバックと1つ下のメンタリティのタスクのウイングバックが同じくらいという感じ。
チャンスメイクを見ると前述のとおりだが、パス数や成功率を見ると逆の結果になっていて、サイドバックの守備が一番パス数が多くて成功率も高くなっている。総じて同じタスクであれば、サイドバックのほうがパス数も成功率も高くなっていて、ウイングバックだと少なくなっている。サイドバックの守備とウイングバックの攻撃でパス数を比較すると、サイドバックの守備のほうが倍近く多くなっていて、成功率も7ポイントの差がある。これを見ると、サイドバックの守備は低い位置で簡単なパスをさばく一方で、ウイングバックの攻撃は前線の高い位置でプレイをするためボールタッチは少なく、ボールを持ったときも難しいプレイを要求されることが見て取れる。そのため、センターバックでボールを持つのを苦労している場合はサイドバックの守備を使って後方でのボール回しを助けたり、攻撃が得意なサイドDFをウイングのように使いたいのであればウイングバックの攻撃で使ったほうが良いといった感じか。
ドリブルはサイドバックの攻撃より、ウイングバックの守備のほうが多い回数になっていて、役割の差が大きくなっていて、ウイングバックの攻撃はずば抜けた回数となっている。サイドバックでは、守備、サポート、攻撃の順でドリブル数が多いが、ウイングバックはサポート、守備、攻撃という順番になっていて、サポートと守備が逆転をしている。これはたまたまこういう結果なのかもしれないが、サポートより低い位置でプレイをする守備タスクのほうが、マッチアップする相手との距離が取れるので、ドリブルをしやすいのかもしれない。
走行距離を見ると、サイドバックの守備タスクが一番少なく、サイドバックのサポートとウイングバックの守備が同じくらい、サイドバックの攻撃タスクとウイングバックのサポートが同じくらい、ウイングバックの攻撃が一番多い結果で、サイドバックと1つ下のメンタリティのタスクのウイングバックが同じくらいという感じ。攻撃的な能力の選手は攻撃的な役割やタスクで活躍をしそうだが、攻撃時に守備位置から離れるので、守備に戻るための走力が求められる。
攻撃では役割やタスクの違いで統計データに色々な差が見れたが、タックル、インターセプト、ヘディングなどの守備の統計データでは規則的な違いは見出だせない。だからといって、どの役割のどのタスクでも同じように守備ができるかというとそうではなく、攻撃時にボールを受けた位置のプロットや走行距離のデータを見てわかる通り、攻撃的な役割やタスクを選択したときは攻撃時に守備のポジションから離れることになるので、ネガティブのトランジッション時に問題になる可能性があることを忘れてはいけない。
必要な能力としては、サイドバックと比較して、前に出るのでオフザボール、より攻撃的なパスを出すので、クロス、パス、視野、ドリブルをより試みるのでドリブル、攻撃的なプレイが多いのでテクニックとひらめき、走力が要求されるのでメンタル的には運動量やチームワーク、フィジカル的にはスタミナ、スピード、加速力といった能力がより要求されるだろう。逆に言うと、こういった能力が高い選手はサイドバックではなく、ウイングバックで起用をすると活躍をしてくれるかもしれない。
コンプリートWB
コンプリートWBは、戦術の設定画面のフォーメーション上でサイドDFの役割の中で一番前に表示をされる役割で、おそらく一番攻撃的な役割なのか。
タスクはサポートと攻撃の2種類が用意されていて、それぞれに設定されている指示は以下の通りで、サポートも攻撃もウイングバックの役割のものに加えて、「サイドに残れ」と「ポジションを離れていい」が設定をされている感じ。
「ポジションを離れていい」と自由に動く指示がついているにも関わらず、「サイドに残れ」と動くポジションを限定する指示もついていて矛盾をした感じもする。シリーズによっては「ポジションを離れていい」の効果が強くて場合によっては中央に入ってくることもあった気がしたが、FM22では「サイドに残れ」が強くて、サイドに残ってプレイをする印象がある。
1試合プレイをさせてみて、サポートと攻撃のタスクでボールを受けた位置をプロットしたものが以下の通りで。サポートが青で、攻撃が赤になっている。やはり「サイドに残れ」の指示が強く反映されている印象があたっており、相手陣内でのペナルティエリアの横の線より内側でのプロットが、サイドバックやウイングバックでは少しあったのだが、コンプリートWBでは全く無くなっている。縦で見ると、ボールを受けている位置はウイングバックと差がなく感じて、違いは前述の横で見たボールを受ける位置で、コンプリートWBはサイドでプレイをするといったところか。
サポート
攻撃
1シーズンプレイをさせてみたときのデータの比較は以下の通り。
基本的にはウイングバックとコンプリートWBで同じタスク同士で比較をするとスタッツは変わらない気がするが、キーパスとクロスでコンプリートWBのほうが値が大きい気がする。
以上をまとめると、ウイングバックとコンプリートWBは似た役割だが、使い分けとしてはサイドでプレイをさせたいときや、よりクロスを上げたいときはコンプリートWBを使うと良いという感じか。
起用の例としては、前のウイングの選手が内側でプレイをさせるようにしていて、サイドDFはサイドでプレイをするように明確にプレイをするレーンを分けたい場合や、中央に空中戦が強い選手がいてサイドからクロスを多くあげたい場合にはおすすめの役割かもしれない。
選手の能力視点でいうと、クロスの能力が高い選手だったらコンプリートWBを使っても良いかもしれないし、スピードや加速力が高くて足の速さをサイドで活用したい場合とか、足は速いがバランスが低くいので接触を避けてサイドでプレイをしたい場合などもコンプリートWBが良いのかもしれない。
ノーナンセンスSB
役割の説明に「主に守備的な役割に専念します。前方に上がってより攻撃的な役割を果たすことはおそらくないでしょう」とあるように、守備に専念をするサイドDFの役割で、タスクも守備のみが用意されている。
ノーナンセンスSBに設定をされている指示は以下の通りで、比較として右にサイドバックの守備タスクを並べた。
ノーナンセンスSBとサイドバックの守備を比較すると、「もっとリスクを減らせ」と「ポジションを保て」の指示は共通をしている。サイドバックにはあった「アーリークロスを上げろ」の設定はノーナンセンスSBにはなく、「クロスをもっと減らせ」の設定が入っていて、そもそもクロスを上げることを控えるように設定がされている。それ以外にも「シュートをもっと控えろ」や「ドリブルをもっと控えろ」といった指示が入っていて、攻撃的なプレイを避けるようになっている。そして「ロングパスをもっと使え」の指示も入っており、自陣でショートパスをミスってショートカウンターを受けないようにということか。
1試合をプレイさせてみて、ボールを受ける位置をプロットすると以下の通り。比較としてサイドバックの守備を赤でプロットして重ねたものも作った。ボールを受ける位置で見ると、ノーナンセンスSBとサイドバックの守備であまり差はなく、どちらも基本的には自陣に位置取る感じが見て取れる。ノーナンセンスSBで相手陣内の深くでボールを受けているのはスローインをしてリターンをもらったものだ。
ノーナンセンスSB
ノーナンセンスSB(青)とサイドバック守備(赤)を重ねたもの
ノーナンセンスSBとサイドバック守備で1シーズンを回してみたスタッツを比較すると以下の通り。ノーナンセンスSBの「クロスをもっと減らせ」や「ドリブルをもっと控えろ」の指示の影響でアシスト、キーパス、ドリブルの値がサイドバックより少なくなっている。また、ノーナンセンスSBの「ロングパスをもっと使え」の指示の影響か、パス成功率がサイドバックより低い値になっている。
これらより、能力を見たときに、クロス、テクニック、ドリブル、パス、ファーストタッチといった攻撃系のスキルに問題を抱えている場合は、ノーナンセンスSBの起用を選択肢に入れても良いかもしれない。
インバーテッドWB
ここ数年前から流行り始めた、アラバロールやカンセロロールなどと呼ばれる、攻撃時に内側に入るタイプのサイドDFを再現する役割。ちなみに守備時は普通のサイドバックと同じくサイドを守ることになる。タスクは守備、サポート、攻撃、自動の4つが用意されている。
それぞれのタスクに設定をされている指示は以下の通りで、サイドバックに「中央へドリブルしろ」、「クロスをもっと減らせ」、「中央に絞れ」、守備タスク以外に「ポジションを離れていい」が追加されていて、中央でショートバスをさばく感じになっている。
それぞれの役割の動きを見るために、守備、サポート、攻撃のタスクで1試合を動かしてみて、パスを受けた位置の図が以下の通り。青が守備、緑がサポート、赤が攻撃になっている。
ボールを受ける縦の高さはそれぞれのタスクでサイドバックと似ていて、守備タスクは基本的に自陣で、サポートは相手陣内の半分くらいの位置まで侵入をしていて、攻撃はペナルティエリア内まで侵入をすることがあるようだ。横の幅を見ると基本的に中央によっていることがわかる。
守備
サポート
攻撃
守備(青)、サポート(緑)、攻撃(赤)を重ねたもの
守備、サポート、攻撃のタスクで1シーズンを回したスタッツは以下の通り。
中央寄りでプレイをするという特性から得点で面白い結果が出ていて、サイドDFにもかかわらず、攻撃タスクで6得点もあげている。FM22のレアル・バリャドリードでのプレイではインバーテッドWBの攻撃タスクで13得点をあげることもあった。
アシストやキーパスを見るとサイドバックと同じくらいの水準だが、指示で「クロスをもっと減らせ」が入っているのでクロスの数を見るとインバーテッドWBの攻撃でサイドバックのサポート、インバーテッドWBのサポートでサイドバックの守備くらいの数になっていて、サイドバックと比較してインバーテッドWBはクロスが少なくなっている。
パス数やパス成功率はサイドバックと同じくらいで、ドリブルも守備とサポートタスクではサイドバックと同じくらいだが、攻撃は2.5とサイドバックの0.44の5倍ほどの多い水準になっているが、ウイングバックの攻撃の4.16と比較をすると少ない。
90分あたりのランニング距離を見るとインバーテッドWBの攻撃が14.7kmと全部の役割とタスクの中で一番多い値になっていて、2番目のウイングバックの攻撃の14.0kmと比較をしてもかなり多くなっていて、スタミナが要求をされそうだ。
この役割の使い方としては、ウイングをサイドで使ってサイドDFを中央で使うように役割分担をしたい場合や、サイドDFに中央でMFのビルドアップを助けて欲しいときか。また、攻撃時に中央に寄るので、ネガティブトランジションの時でもある程度中央に人数がいるので、中央のカウンターを受けづらいということがあるか。
必要とされる能力としては、中盤でMFのようにパスをさばくことを期待されるので、パス、ファーストタッチ、視野といった能力がより重要になると思う。また、攻撃タスクで得点を期待する場合は決定力か。
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